新会社法のもとでの譲渡制限会社の対応策
譲渡制限会社とは
  新会社法では、株式譲渡制限会社のことを、「公開会社でない会社」又は「非公開会社」と呼ばれます。
「公開会社」といえば通常、株式を証券市場で公開している会社のことをいいますが、会社法にいう公開会社とはそうではなく、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社(会社法2条5号)」であるとされています。
つまり、新会社法にいう公開、非公開の区分は、「株式が上場されている」か否かには関係ありません。

具体的には、
@発行するすべての株式について、その内容を譲渡制限株式とする定款の定めを設けていない株式会社、又は、
A発行する一部種類の株式について、その内容を譲渡制限株式とする定款の定めを設けていない会社が、「公開会社」ということになります。

※実際には、一部の種類の株式に譲渡制限を設ける会社が登場することはあまりないと考えられています。

つまり、株式譲渡制限会社(非公開会社)とは、
@ すべての株式の譲渡について、
A 会社の承認を必要とする旨の定めを、
B 定款に定めている株式会社のことです。

対応策 取締役会廃止の検討
株式会社に最低限必要とされる機関は、株主総会と取締役のみで、その他の機関を置くか、置かないかは任意である(会社法326@)。
譲渡制限会社の場合、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会は、すべて任意に設置の機関です。
取締役会を維持するのであれば書面・電磁的決議制度(持ち回り決議)を検討する。
この場合、その旨を定款で定めておくことが必要である。

※取締役会設置会社とは、要するに、公開会社と、非公開会社のうち取締役会を任意に設置した株式会社の総称ということになる。
☆廃止するメリット
@ 取締役会を設置しないことにより迅速な意思決定が可能となる。
A 取締役会議事録の作成義務・保存義務・閲覧に供する義務等がなくなる。
B 株主総会に関する手続きが簡素化される。
C 株主総会召集通知は書面でなくてもよい。
D 会議の目的事項を記載しなくてもよい。
E 株主総会召集通知に計算書類及び監査報告書の添付が不要

対応策 取締役の人数、任期の見直し

取締役会を設置しない会社の取締役は1人でもよい。
譲渡制限会社については、定款で定めることにより役員(取締役・監査役)の任期を10年まで延長できる。

1 取締役の人数
取締役会を設置しない会社の取締役は1人でもよい。
取締役会を設置する場合は、これまでと同様に3人以上必要。
2 役員(取締役・監査役)の任期
  原則   延長
取締役 2年 最長10年
監査役 4年 最長10年
会計参与 2年 最長10年

対応策 取締役の資格制限の導入

旧法では、定款によっても資格を株式会社に限ることはできない。
新会社法では、譲渡制限会社においては、取締役が株主て゜なければならない旨を定款で定めることができる。

対応策 監査役制度の見直し

取締役会を設置しない場合、監査役をおかなくてもよい。
取締役会を設置する場合でも、会計参与をおくことで監査役をおかないことがてきる。
監査役の監査の範囲を、定款で定めることにより、会計に関するものに限定することができる。
※小会社の監査役の権限は、会計監査に限定する旨の定款の定めがあるものとみなされる(整備法53条)。

対応策 株券廃止の検討

新会社施行後に設立される株式会社においては、定款に「株券を発行する」旨の定めを置かない限り、株券を発行する必要はない。つまり、株券不発行が原則となつた。
ただし、現在定款に「株券を発行しない」旨の定めをおいていない会社は、株券発行会社とされるため(整備法76C)、株券を廃止するためには、定款変更のほかに法定の手続きが必要となる(会社法218)。

対応策 相続人等に対する売渡し請求

これまで、株式を譲渡制限株式とした場合でも、相続や合併等の事由による株式の移転については制限できなかったため、会社にとって好ましくない者に株式が分散することを阻止できませんでした。そこで、新会社法では、定款で定めることにより、会社が相続や合併で移転した譲渡制限株式について売渡請求を行なうことができるようになったため、会社の経営を安定させることができるようになります。

相続その他一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対して、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる(会社法174)。
ただし、売渡しの請求は、会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から1年以内にしなければならない(会社法176@)。
株式の売買価格は当事者間の協議によりますが、協議が調わない場合、裁判所に売買価格の決定の申立てができる。ただし、申立ては売渡請求の日から20日以内にしなけれならない(会社法177A)。